
●開発者会議にふさわしい内容に
「WWDC 2014」のキーノートスピーチ。iPhone 6を初めとした新デバイスの発表はなく、新OSの「iOS 8」もマイナーチェンジにとどまったと見えてか、一般ユーザー反応はマチマチだ。では、日々、携帯電話関連のニュースに携わるライターの目にはどのように映ったのだろうか。小山安博氏に所感を記してもらった。
米Appleの開発者会議「WWDC 2014」が今年も開催され、キーノートにCEOのティム・クック氏が登壇。Mac向けの新OSとなる「OS X Yosemite」とiOSの新バージョン「iOS 8」を披露した。ハードウェアの発表はなく、新OSと新開発言語を発表するなどソフトウェアに特化し、開発者会議にふさわしい内容だった。逆に言えば、開発者以外に向けたトピックスがあまりなかった、ともいえる。
WWDC自体は、基調講演に続いて開発者向けのセッションなどが用意されており、もともと開発者に向けたイベントだ。むしろ、ハードウェアが発表されることが例外で、今回も、少なくともiOS端末が発表される見込みはなかったし、業界内で発表されると考えていた人はいないだろう。
それでも、Mac製品のアップデートはあり得る話だったが、今回はそれもなく、ティム・クック氏に加えて説明を担当したのはSoftware Engineering Senior Vice Presidentのクレイグ・フェデリギ氏だった。
そして発表内容である。最大のトピックスは新OS XのYosemite(ヨセミテ、米カリフォルニア州の国立公園の名だ)とiOS 8。WWDCとしては、新しい開発言語となる「Swift」も大きな話題だろうが、ここでは触れない。特にiOS 8について振り返ってみたい。
●飽和しかかったiOS
iOS 8は、先進的でも、独創的でもない、しかし、さまざまな機能を洗練させたところが、アップルの真骨頂と言ってもいい。ただ、その洗練さが限界に近づいて飽和しかかっている、そんな印象を受けた。
もともと、iOSはアップルの強固な思想で構築されているため、ソフトウェア・ハードウェアベンダーは、アップルの用意したモノを使って、アップルに従って開発しなければならない。箱庭のようなものだ。
ただ、ネイティブアプリが登場した頃はまだ、複雑な機能はサードパーティに任せ、OSと標準アプリはシンプルに、直感的に使えることを目指していたように思う。しかし、次第に肥大化する標準アプリは、当初使われていたようなサードパーティ製アプリを飲み込み、標準アプリは複雑化していった。
標準アプリに組み込まれた機能と同様のアプリは使われなくなるし、また新たなアイデアを持ち込む必要があるが、人気になると、それもアップルが取り込んでしまうので、いつしか限界が来る。
そして、通知センターの「ウィジェット」、iCloudを経由したiOSとMacのデータ同期のHandoff、iOSの電話着信をMacで受ける機能、iCloudの機能拡張など、新しいアイデアは特になく、Androidでは同様のことは今までもできた。iOSの違いは、たいていの機能を標準で組み込み、(Macがあれば)比較的誰でも簡単に使える点だが、サードパーティがアイデアを競う余地はない。
●フレームワークを開発者に用意
HomeKit、HealthKit、PhotoKitといったフレームワークも、アップルが作法を用意したことで、ようやく開発者は連携サービスを作れるようになったが、従来の箱庭に新しい広場を作ったぐらいで、何か特別なイノベーションがあるわけではない。
とはいえ、アプリそれぞれのデータを一つにまとめて管理できるのは、家庭のデジタル製品やヘルスケア製品のような、複数の製品の情報を扱うジャンルには適している。
さまざまなセンサー製品と連携して情報を取り出すヘルスケア製品はすでに一般的に使われているし、エアコンやドアキー、インターホンなどとの連携も、製品は多く登場してきている。ユーザーが複数アプリの使い勝手に悩んでいる時期に、それを一括してまとめられる「Kit」を用意するあたり、さすがのタイミングだ。
これは一つの大きな変化だ。箱庭に個別に建っていて連絡も取り合えなかった各戸の家に電話線を引き、広場を作ってコミュニケーションできるようにしたのは、セキュリティ的なめどが立ったのかもしれないし、満を持しての解放なのかもしれない。UIもiOSの作法で洗練した操作性で扱えれば、ユーザーにとってもメリットは大きいし、最小限のアプリの開発で、洗練されたiOSのUIでサービスを見せられる、という開発側のメリットにもつながるだろう。
●アップルの強み
こうした「より使いやすく、より洗練させる」という点でアップルは強い。ヘルスケア、家庭デジタル製品の連携機能で、iOSは一歩進んだ存在としてアピールしていくのだろう。
気に掛かるのは、こうしたKitに最適化し、iOSを想定して作られるサービスが出てくる可能性だ。まあ、世界的なシェアや台数を考えれば、Android(もちろんWindowsも)をサポートしないクラウドサービスはありえないが、「iOSならばより使いやすい」という見せ方はありえる。
例えばPhotoKitを使えば、Instagram的なサービスを、カメラ機能の開発なしに提供できるようになる。クラウドサービス側に特別なアイデアがあれば、アプリ開発を最小限に提供できるというのはメリットだろう。ただし、これだけだとAndroid向けにはサービスを提供できない、ということになる。
そこまでいかなくても、複数が連携するサービスのフロントエンドとしてiOSがあり、「iOSを使えばさらに便利」という設計はありだろう。WWDCの基調講演で触れられたアップルの「Health」アプリは、さまざまなヘルスケア関連の情報を集約し、それをほかのアプリやサービスに連携させる機能もあるようで、これをベースにしたサービスやアプリはありえる話だ。
●アップルの目指す独自性
OS単体としてのイノベーションは飽和しており(それはAndroidも同様だろう)、アップルは今までの制約を少しずつ解放して、他社のアイデアを取り込み、iOSの独自性を維持しようとしている。セキュリティやプライバシーを重視するならば、一定の制約は今後も続くだろうし、Androidのように自由度を与えると危険性も高まるので、維持される制約もあるだろう。
その点、IMEをサードパーティに解放したのは難しい判断にも思える。中国市場を意識したという見方もできるが、いずれにしても安全にサードパーティのIMEを提供できる準備ができたから、と信じたいところだ。
そのほか、ビジネス向けの機能やTouch ID API、METAL、そして開発言語のSwwiftなど、注目したい点はあるが、iOSの箱庭が解放されたというよりは、箱庭をより強固にするための戦略に見える。あくまで、デバイスとしてのMacとiOSを中心とするアップルの戦略であるだろう。
iOSが今後どういった方向に進むのか予測するのは難しいが、単独での成長の限界に来て、他社へ小刻みに解放することでフロントエンドとしてのiOSとMacをより強化した、というのがiOS 8に対する印象だ。
(小山安博)
ナビタイムジャパンは、Android向けカーナビアプリ「NAVITIME ドライブサポーター」およびNTTドコモが提供する「スゴ得コンテンツ」内の「NAVITIME ドライブサポーター for スゴ得」(Webサービス)に取締情報表示機能を6月6日より追加する。
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取締情報表示機能は、全国の交通取締情報をテキスト表示で知らせる機能。エリアと日付を指定し、取締情報を確認することができる。利用料は無料。
さらに6月中旬には、取締情報表示機能にPUSH通知を追加。PUSH通知は、エリアと配信日時を指定すると、登録したエリアで取締情報がある場合に、スマートフォン端末のステイタスバーにお知らせを表示する。PUSH 通知はプレミアムコース(有料)に登録すると利用できる。
なお、iOS向け「NAVITIME ドライブサポーター」および「カーナビタイム」においても、順次対応を予定している。
《レスポンス 纐纈敏也@DAYS》
ソフトバンクモバイルが、世界で初めて人間の感情を認識するという人型ロボット「Pepper」を発表、2015年2月に19万8000円(税別)で発売する。Pepperは感情エンジンとクラウドAIを備えており、人との対話を通じて成長していく。ちょっと会話がかみ合わないこともあるが、ある程度のフリートークも楽しめる。そんなPepperの外観を写真でチェックしていこう。
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Pepperのサイズは485(幅)×1210(高さ)×425(奥行き)ミリ、重量は28キログラムで、子どもくらいのサイズと重さだ。頭部にはマイクやタッチセンサー、胸部にはジャイロセンサー、手にはタッチセンサー、脚部にはソナーセンサーやジャイロセンサーなど、さまざまなセンサーを搭載している。頭、肩、肘、手、首、腰などは可動し、人間のようなコミカルな動きを見せてくれる。
何かの拍子にぶつかったらケガをすることが心配されるが、各種センサーが人や障害物を検知して衝突を防いでくれる。誰かに押されても重心を移動させて倒れないようにするオートバランス機能も備えるほか、万が一の事態にはボタン1つで緊急停止も可能だ。
Pepperは音や声に反応するので、「Pepper!」と話しかけるとこちらを振り向いてくれる。6月6日からソフトバンク表参道とソフトバンク銀座にPepperを設置して、自由に会話を楽しめるので、Pepperと遊びたい人は訪ねてみてほしい。