国宝「鳥獣人物戯画」の4年がかりの修理が完成したことを記念し、全4巻を公開する展覧会「修理完成記念 国宝 鳥獣戯画と高山寺」が開催される。期間は10月7日から11月24日まで、場所は京都国立博物館(京都府京都市)、主催は京都国立博物館、高山寺、朝日新聞社。
【他の画像:あの有名なカエルVSウサギの場面】
「鳥獣人物戯画」は高山寺が収蔵する、甲巻、乙巻、丙巻、丁巻の4巻に分かれた長さ10メートルにおよぶ絵巻物。平安時代作の甲巻は、カエルがウサギを投げ飛ばすなど動物が人間のような仕草で描かれ、現代のマンガの原点とも言われている。製作から800年が経過し劣化や損傷に悩まされていたため、2013年まで朝日新聞文化財団により保存修復作業がなされていた。
同展では修理後の全4巻を初めて一挙に展示する。修復作業中の新発見なども紹介。あわせて高山寺中興の僧・明恵に関わる資料や、国宝「華厳宗祖師絵伝(華厳縁起)」といった名宝の数々も公開される。
開館時間は午前9時30分から午後6時まで(毎週金曜日は午後8時まで、入館は閉館30分前まで)。休館日は月曜日(ただし10月13日、11月3日、11月24日は開館し、10月14日、11月4日は休館)。入館料は一般1500円で、例のカエルがウサギを投げ飛ばす名場面が描かれた扇子が付いたセット券も3000円・限定500組で販売される。
MITで行われている研究は大胆不敵で、人をあっと言わせるものが多い。この、無人機の編隊を使った写真撮影用の自動照明装置も、その例外ではない。プロトタイプは8月に行われる、「グラフィクスと視覚化と画像処理におけるコンピュータ利用の美学」(Computational Aesthetics in Graphics, Visualization and Imaging)に関する国際シンポジウムでデモされるが、それは軽量の無人機を一機だけ使ってバックライティング(逆光照明)を作り出し、被写体の縁(ふち)の部分の光を強調する。
初期のシステムでは、写真家が照明が及ぶ範囲(幅)を指定すると、無人機が適切な位置に空中停止して適切な照明を作り出す。また、照明==無人機の三次元の位置を、写真家はリアルタイムで調節できる。そしてまた、位置調整を、人間などの被写体の動きに自動的に合わせることもできる。これにより、ライティングの微妙な変化による大きな写真的効果を作り出すことができる。
設計者の一人Manohar Srikanthによると、無人機をコントロールするコンピュータに毎秒20回の撮影をさせることにより、これまで写真家自身が(==カメラが)あちこち動いて検討していた構図の決定を、より効率的にできるようになる。コンピュータが撮ったそれらの写真はカメラのメモリには保存されず、コンピュータのストレージに保存される。量が多いためカメラ本体への保存は無理だ。
このシステムの将来のバージョンでは、複数の無人機をコーディネートしながら飛ばし、より複雑な照明効果を作り出す。複数の照明器具のセッティングは、いわゆる‘組み合わせ’の数が膨大なので、人間が手作業でやると、膨大な試行時間を費やした挙句、最高の美を得るためには天才的な勘の助けを借りなければならない。それを複数の無人機の編隊と、それらに対するコーデネイションプログラムがやれば、相当な費用と時間を節約できる。プロの写真家たちの、生産性も上がるだろう。
(翻訳:iwatani)
●SIMロック解除の現状
総務省のICTサービス安心・安全研究会が6月30日に「消費者保護ルールの見直し・充実に関するWG」の中間取りまとめ案を公開した。その中で、携帯電話事業者に対してSIMロック解除の検討を促している。そのほか、料金プランやクーリングオフ制度にも言及しているが、今回はSIMロック解除をメインに触れる。結論から述べれば、SIMロック解除にともなう変化は一部に限定されると見ている。そう思う理由について述べたい。
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SIMロックは、携帯電話が利用できるSIMに制限を加え、特定の事業者のSIMカードしか利用できないようにする、というもの。携帯電話が通信を行うためにはSIMカードが必要で、携帯電話で使えるSIMカードを制限(ロック)すると、購入した携帯電話はその携帯キャリアの通信しか行えない。
それに対して、総務省が2010年6月にSIMロック解除に関するガイドラインを出し、これに応じてドコモは多くの端末でSIMロックに応じた。KDDIは、3Gの通信方式が他社とは異なるので解除の意味がないとしてガイドラインには応じず、ソフトバンクは販売数の見込めない一部の端末でSIMロック解除に応じつつ、解除の要望が少なくニーズがないとして、ほとんどの端末では解除に応じていない。
ドコモもiPhoneのSIMロック解除には応じてはいないが、これはどちらかというとアップル側の施策だろう。アップル自身はSIMロックフリーのiPhone/iPadを販売しており、「SIMロックフリーのiPhone/iPadを買う」ことはできる状況だ。
●総務省がSIMロック解除に積極的な理由
さて、ここにきて総務省がさらにSIMロック解除に関して積極的になってきたのはなぜか。一つにはガイドラインが実質的に無視されてきていることに業を煮やした面もあるだろうが、そもそも取りまとめ案自体が「消費者保護」を前提としているからで、「購入した端末がそのキャリアでしか使えない」という課題に対しては、「SIMロックを解除する」というのは順当な結論だ。
各キャリアは、MNPを防止し、継続利用してもらうためにさまざまなサービスを提供しているが、最近はキャリアサービスもマルチキャリア化したものがあり、キャリアを移行してもサービスは利用できる。LINEなどのメッセージサービスやGmailなどを使えば、メールアドレス変更の問題も回避できる。レンタルしたわけでもないスマートフォンがキャリアを変えると使えなくなる、というのは自然ではないだろう。
もちろん、スマートフォンによっては各キャリアの周波数帯をすべてサポートしておらず、移行したキャリアの電波をきちんと受けられないという問題はあるかもしれない。KDDIのCDMA2000ネットワークをサポートしない端末だと音声通話もできない。最近の端末は複数の周波数帯をサポートしているが、それがどのキャリアの周波数もすべて使えるか、というのは別の問題だ。
また、SIMロックを解除してキャリアを移行した場合、端末のサポートを誰が行うのか、という問題もある。根本的にはメーカーが行うべきだが、もともとそうしたメーカーサポートを前提としない販売方法を行ってきたため、業界的にも混乱するだろう。
●バラ色の未来は訪れるのか
ただ、「端末の代金を支払い終えた端末を自由に使えない」という点で、SIMロック解除は最低限のスタンスだろう。2年間の契約期間を前提に端末価格を割り引き、その間はサポートし、2年契約のあとはSIMロック解除が可能になり、移行した場合は端末サポートも終了する、というやり方もある。移行に関しては、継続できないサービス、使えるとは限らないネットワーク、サポートもない、といった点をちゃんと説明でき、ユーザー側も、それを理解する必要がある。
正直なところ、理解できない利用者もいるだろうし、それをキャリアが(実際は矢面に立つショップが)突っぱねることができるかどうか、という課題もあるだろう。MNPを受け入れた側のキャリアが有償サポートを提供する、という考え方もあるが、すべてのキャリアで同じ端末を扱っているわけでもないので、難しい側面もある。
もともと、中間取りまとめ案では、消費者保護の観点でSIMロック解除、クーリングオフ、料金プランの多様化、キャッシュバックの問題、といった幅広い論点が提出されているが、「SIMロック解除すればすべて解決」というような論調では特にない。というより、SIMロックを解除したからといってバラ色の未来は訪れない。
海外でもSIMロック解除の方向性になっているが、あくまで論点は「消費者保護」で、しかもこれまでキャリアのビジネスが通信サービスに特化して、日本のように各種サービスを取り扱ってこなかったため、比較的問題が起こりにくかったという点もある。
日本では、そのキャリアでしか使えないサービスがあって移行できない、移行したくない、というユーザーもいるだろうし、それは自然な流れ。逆に言うと、SIMロック解除による影響は特にないはずだ。
●SIMロック解除で起きること
そもそも、SIMロック解除はユーザー全員に恩恵があるわけではない。あくまで消費者への「選択肢の提供」が本来の目的だ。SIMロック解除によるいくつかのメリットはあるが、それがすべての人にとってのメリットかどうかは論点が違う。
SIMロック解除ができるとしても、結局同じキャリアを使い続ける人はいるだろうし、MNPにともなってそのキャリアの新端末も欲しい人もいるだろう。しかし、多少は不便でもMNPで使い慣れた端末をそのまま使いたい人や海外でSIMを購入して使いたい人など、解除したい人もいるはずで、そうしたユーザーにとっては選択肢が増えることになる。
その結果、一部のユーザーに選択肢を与える代わりに、全ユーザーに対して契約の縛りを強くし、とにかく囲い込もうというプランが新設されるかもしれない。ハードウェア的にサポートしている周波数帯域を、あえてブロックして出荷するキャリアが出てくるかもしれない。それはそれでキャリアの選択ではある。その場合、そのキャリアはサービスを良くしてユーザーを取り込もうというのではなく、とにかく消費者から搾り取ろうという不誠実なキャリアということだろう。
例えば米AT&Tの「AT&T Next」サービスでは、12カ月間一定料金を支払い続けると次のスマートフォンに交換できるというもので、継続してキャリアを使い続ける理由にはなる。こうした継続利用に対する優遇も一つの施策だし、各種のキャリア紐付けサービスもその一つ。そもそも、全員がSIMロックを解除しないだろうし、SIMロック解除の影響はほとんどないかもしれないが、本来の目的から言えば、「だからSIMロック解除が無意味」と言えないだろう。
●SIMロック解除で考えうること
こうしたSIMロック解除とは別の論点として、取りまとめ案では各社横並びの料金プランの問題などもあげられているが、これが「SIMロック解除したから変化する」とは考えにくい。総務省も総論としては、「SIMロック解除を義務化したらみんながSIMロックを解除するし、料金が安くなる」とは考えていないはずだ。
SIMロック解除は、「端末の持ち主は誰か」という消費者保護の取り組みで、それに関わらず、適切な競争をキャリアもメーカーも行って業界を発展させればいい。SIMロックフリー化がビジネスチャンスになると考える企業があれば、それに向けてサービスを磨けばいい。
「SIMロック解除しても何も変わらない」もしくは「何かが変わる」という意見は性急に過ぎる。選択肢が増えることで、それを利用するユーザーがいて、何らかの動きは起きるかもしれないが、主流にはならない。いずれにしてもそれが正常な状態だ。 もちろん、SIMロック解除に向けた準備は必要だろうから、それによる動きはあるだろう。解決しなければならない課題も多い。SIMロック解除に比べれば、「技術基準適合証明(技適)のない端末でも一定の要件を満たせば誰でも国内で使える」などといった規制緩和の方がインパクトがあるだろうし、低価格スマートフォンが普及してMVNOが活性化し、それにともなってSIMロック解除が威力を発揮する、ということもあるかもしれない。
いずれにしても、SIMロック解除にともなう変化は、一部に限定されると予想するが、どこかが大きな取り組みを行えば、何か変化は起きるかもしれない。「少なくとも一定期間後にはSIMロック解除を行えるようにする」という方針は、キャリア側も十分に検討すべきだろう。
(小山安博)