
小学生のころの月曜夜の楽しみは、テレビの時代劇「水戸黄門」だった。当時は確か、加藤剛演じる「大岡越前」、西郷輝彦が「遠山の金さん」を演じた「江戸を斬る」とのローテーションだったと思うが、私は水戸黄門が好きだった。一話完結で勧善懲悪、登場人物のキャラクターがユニークだったからだ。
ストーリーはというと、諸国漫遊中の黄門さまご一行が、必ずと言っていいほど庶民のトラブルに出くわし、それがどうやら藩や幕府の転覆を企てる話につながっていることがわかるのだ。黄門さまが懲らしめようとすると、悪代官や悪商人らが悪あがきをするが、最後は大立ち回りの末にお供の助さんが「この紋所が目に入らぬか」と印籠を取り出し、「天下の副将軍」であることがわかると、一件落着になるというワンパターン。
「黄門さまはお年寄りなのに、全国を歩いて大変だっただろうな」と小学生の私は思っていたが、諸国漫遊は実は架空の話だ。本当の水戸藩第2代藩主、徳川光圀はというと、62歳で藩主を養子の綱條(つなえだ)に譲ると、翌年、水戸から離れた山中に隠居所「西山御殿」(西山荘)を建てて隠棲し、歴史書「大日本史」編纂(へんさん)に生涯をささげたという。受け付けでもらったパンフレットには「領民たちと自ら親しく交流しながら、修史編纂事業に情熱を注ぎ…」とあった。
西山荘は光圀の死後、一度焼失した。現在の西山荘は、第8代藩主、齊脩(なりのぶ)によって再建されたものだという。
ドラマは、江戸末期に講談師が創作したという「水戸黄門漫遊記」が基になっているとか。黄門さまの世直し旅の話は、江戸庶民にも人気だったそうだ。
最近、私はドラマをほとんど見なくなった。だらだらと続く最近のドラマは、どうも性に合わないらしい。やっぱり、ドラマは一話完結に限る。
(水戸支局 小島優)
■あらすじ 水戸藩第2代藩主の水戸(徳川)光圀が隠居後、臣下の助さん(佐々木助三郎)、格さん(渥美格之進)らを連れて諸国を漫遊し、悪政をただすストーリー。
テレビドラマは、昭和44年8月から平成23年12月までTBS系列で放映された。初代光圀役は、東野英治郎。シリーズ第31部から終了となる第43部までの5代目光圀は、第3~17部で助さん役だった里見浩太朗が演じた。
西山荘では、16年4月からの第33部第1話で、晴耕雨読の日々を送る光圀のもとに江戸から急な手紙が届くシーンなどのロケが行われた。西山荘でテレビシリーズのロケが行われたのは、この時が初めて。
■アクセス 所在地は、茨城県常陸太田市新宿町590。車の場合は、常磐自動車道日立南太田ICより常陸太田方面に約30分。電車の場合は、JR水郡線常陸太田駅で下車し、タクシーで約5分。西山荘の入場料は大人756円、小中学生540円。未就学児無料。