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2026.01.01|コメント(-)トラックバック(-)

完全ケーブルレスの魅力――iX世代のコンパクトスキャナ「ScanSnap iX100」を試す


 2001年に初代モデル「fi-4110EOX」が発売されてから13年。もはや「ScanSnap」シリーズは、ドキュメントスキャナの代名詞とも言える。2012年にはフラッグシップモデル「iX500」、スタンダードモデル「S1300i」が発売されたものの、コンパクトモデルのラインアップは2010年以降大きな動きがなかった。しかし、4年の歳月を経てついに新型「ScanSnap iX100」(以下、iX100)が登場した。

【他の画像】

 すでに成熟期に入っていると言っても過言ではないScanSnapシリーズだが、モバイル利用を前提とする「尖った」コンパクトモデルにはまだまだ革新的なモデルチェンジの余地が残されている。iX100の「バッテリー内蔵」という特徴も、最初に聞いたときはそういった過渡期における挑戦の1つ、という印象だった。

 だが、実際に本機を使ってみてすぐにその印象は間違いだと分かった。iX100は現在のモバイル環境を見据え、S1100の設計を受け継ぎつつ、フラッグシップ機であるiX500の成果を反映させた、堅実な正当進化の逸品だった。

●「S1100」譲りの美しいデザインと「iX100」の新機能

 iX100のデザインはiX500に引き続き、ミラノのデザインスタジオ、toshisatojidesignが手がけている。使っていないときには周囲と調和し、使うときには高性能を発揮する、という2つの「顔」を具現化した「W-face」がデザインコンセプトだ。ブラックで統一されていながら、排出ガイドを閉じるとシックなマットブラック、開けると光沢のあるピアノブラックの面が現れる。

 それと同時にS1100のコンパクトさも踏襲。横から見ると背面側に膨らみのあったS1100に対し、iX100は面取りした直方体そのもの。タブレットやスマートフォンで利用する場合には一切のケーブルが不要なiX100の利用スタイルによくマッチする、シンプルを極めたデザインだ。

 電源ボタンはなく、前面部分の給紙ガイドを開くことで電源オンとなる。給紙ガイドには紙を置くときのガイドとなる出っ張りが左右にあるが、その幅は別売のA3キャリアシートに合わせた218ミリとなっており、A4サイズ幅である210ミリより広い。斜行が気になるかもしれないが、原稿が多少傾いて読み込まれても補正されるので問題はない。

 原稿読み取りは片面のみで、1枚ずつ原稿面を表向きにして挿入する。そのため、両面を読み取る場合には原稿を裏返してもう1度セットする必要がある。その際に役立つのが排出ガイドの開閉による2ウェイペーパーパスだ。

 iX100の上面カバーを兼ねる排出ガイドを閉じたままで読み取りを行うと、給紙口から排出口までストレートに原稿が送られる。一般的なオフィス用紙のほか、はがきなどの厚口用紙、プラスチックカードのように折り曲げができない原稿などを読み込む際に利用する。

 一方、上面カバーを開くと本体部の排出口をふさぐように排出ガイドがセットされ、原稿がUターンして戻ってくる。原稿の裏表が逆になるので、それをそのまま再度投入すればよい。裏表だけでなく天地もひっくり返ってしまうが、ScanSnap Managerの向き補正機能を使えば自動的に向きをそろえてくれる。

●「iX500」で開発された技術をつぎ込んだ正統進化形

 iX100のサイズは、273(幅)×47.5(奥行き)×36(高さ)ミリ。S1100と比べ高さがわずかに2ミリ増加しただけで、ほぼ同じサイズだ。一方、新たに内蔵されたバッテリーのためか、重量は約350グラムから約400グラムに増えている。iX100の大きな特徴はこのバッテリーと、Wi-Fiに対応している点だ。内蔵バッテリーの容量は720ミリアンペアアワーと、かなり小さいものの、260枚の連続読み取りが行える。モバイルバッテリーを使って連続稼働時間を延ばすこともできるだろう。

 前コンパクトモデルのS1100ではUSBバスパワーで動作し、ノートPCと接続すれば別途電源を確保することなく利用することができた。USBは万能のインタフェースとしてどんなPCにも搭載されている――はずだった。だが、わずか数年で時代は変わり、USBホスト機能を持たないタブレットやスマートフォンが世の中を席巻するようになった。コンパクトモデルの使命として、どこででも利用できるようにするためにWi-Fi機能、そしてホストからの電力供給なしで動作するための内蔵バッテリーを搭載することは必然だったのかもしれない。

 iX500同様、GIプロセッサを搭載したiX100は、USB 3.0ポートこそ提供されてはいないものの、Wi-Fi機能においてはiX500から大きな進化を遂げている。無線アクセスポイントが必須だったiX500に対し、iX100は自身が無線アクセスポイントとなってタブレットやスマートフォンをつなぐことができるようになった。出先での利用を考えると無線アクセスポイントがなくても使えることは重要な改善ポイントだ。

 タブレットやスマートフォンから利用する場合には、専用アプリ「ScanSnap Connect Application」(以下、SSCA)を使用する。GIプロセッサに画像処理を行わせることでタブレットやスマートフォンに大きな負荷をかけることなく、原稿の読み込みが可能だ。

 SSCAはAndroid/iOS用のほか、Windows/Mac用も提供されている。以前はWi-Fi接続ではScanSnap Managerが利用できなかったためにPCでSSCAを使うことにもメリットがあったが、ScanSnap ManagerがWi-Fi接続に対応した今となってはその利用価値は薄くなってしまったようだ。

●ScanSnapの性能を100%引き出すScanSnap Manager

 SSCA経由での読み込み処理はホスト側の負荷が軽くなるというメリットはあるが、GIプロセッサの画像処理には制約がある。ScanSnap Managerで接続すればScanSnapの性能を100%出しきることができる。

 ScanSnap Manager接続時だけ利用可能な機能としては、最高解像度のエクセレント(カラー/グレー600dpi、白黒1200dpi相当)モード、向き補正機能、OCR機能、A3キャリアシート対応などがある。ScanSnap ManagerはWindows/Macのみの提供となる。

●画質をチェックする

 iX100はS1100同様、光学系にセルフォックスレンズ等倍光学系、イメージセンサにCIS、RGB3色LEDを光源とする。以下にiX500との画質比較を掲載する(スキャンサンプルは「ジーエーえくすぷろ~らぁ No.101」(C)SBクリエイティブ/聖剣使いの禁呪詠唱・あわむら赤光/refeia)。

 ファイル形式はJPEG、圧縮率3とした。iX500のほうがややコントラストが強めに出ていたり、グラデーションの再現性がわずかによい、という差はあるものの、ファイルフォーマット、圧縮率や読み込み設定の調整で埋もれてしまうレベルだろう。

 読み取り速度はA4用紙片面でノーマル/ファイン/スーパーファインで5.2秒、エクセレントで20.4秒。S1100ではそれぞれ7.5秒、35秒なので、30~40%程度の速度向上だ。ただし、この読み取り速度は原稿搬送開始から排出までにかかる時間であり、データ転送にかかる時間は含まれていない。

 Scanボタンを押して「次の原稿をセットしてください」と表示されるまでは

という結果だった(SSCA/802.11g/アクセスポイントモード)。環境に依存する部分が大きいため、あくまで参考値としてとどめてもらいたい。

●利用シーン

 ビジネスシーンでの活用方法はいろいろ考えられる。今やノートPCやタブレットを使って議事録をとったり、資料を確認したりすることは珍しくないが、取引先が用意した資料が紙ベースのものであることも多い。そうしたときにiX100でさっと読み取れば電子ファイルがなくても、プロジェクタなどで映して共有することができる。

 また、資料の印刷は行わず、事前に電子ファイルで資料を送ってくれ、と依頼しても、直前まで資料を作成していて応じてもらえないこともある。そんな場合は印刷した資料を1部だけ持ってきてもらい、その場でiX100でスキャン、evernoteやDropboxなどのクラウドストレージで共有して各自のタブレットやノートPCで閲覧するようにすれば、先方の印刷の手間や紙資源の無駄を減らすことができる。

 多数の出展社が集まる展示会などでも活用できそうだ。各企業のブースではパンフレットを配布していることが多いが、十数社も回ると相当量になる。しかも、その情報を社内で共有するためには帰社後にもう一手間が必要だ。iX100があれば会場の喫茶スペースなどでさっとスキャンしてクラウドストレージにアップしてしまえばいい。

 学生の場合だと試験前に過去問やノートをスキャンするという用途にも使える。たとえコピー機に長蛇の列ができていても、空いている講義室や食堂などでスキャンできるiX100ならなんの問題もない。

 そのほかにも、スマートフォンやタブレットに付加される「ドキュメントの取り込み」機能の利用価値は高い。Evernoteと組み合わせれば「すべてを記録する」環境がより快適になる。スマートフォンのカメラを使ってドキュメントを「撮影」している人もいるだろうが、画像のクオリティ、OCRの精度は段違いだ。なお、12月末日までの期間限定でEvernote Premium 3カ月分が同梱される点にも注目したい。

●モバイルに必要な機能を見極めた設計思想

 コンパクトモデルであるiX100は、当然ながらモバイル用途を重視している。コストの許す限り高性能・高機能を追求できるフラッグシップモデルとは異なり、小型化・軽量化のために何を削り、何を残すか、あるいは追加するかが重要だ

 iX100の前モデルであるS1100は小型化のために両面読み取り、自動給紙機構を削った。iX100はそれを踏襲しつつ、重量増となってでもバッテリー内蔵という選択肢を選んだ。そしてiX500で培ったGIプロセッサを搭載し、本体内での画像処理、Wi-Fi対応を果たした。すべては「イロモノ」ではない正統進化であるからこそ、選択された機能だ。

 タブレットやスマートフォンの後ろにはクラウドストレージがある。どこにいても、実際にどこに保存されるかを気にすることなく利用できる。それと同時に、持ち運びができるから、どこにいても使うことができるiX100がある。アプローチは逆だが、結果として「できること」は似た性質を持つため、相性がよい。

 ScanSnap iX100は使い方を想像することが楽しいドキュメントスキャナだ。


[瓜生聖,ITmedia]

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2014.06.11|コメント(-)トラックバック(-)
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