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転がるロボット「スフィロ」と「宇宙」の意外な関係 - newssabandon

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2025.08.12|コメント(-)トラックバック(-)

転がるロボット「スフィロ」と「宇宙」の意外な関係


 東京ドームシティにオープンする宇宙ミュージアム「TeNQ」(テンキュー)には、球形ロボット「sphero」(スフィロ)で遊ぶアトラクション「アストロボール」が設けられる。7月8日のオープンを前に行われた内覧会には、スフィロのソフトウェア開発を担当したアダム・ウィルソン氏が登壇してスフィロ開発の経緯を語った。

【画像:スタート位置にスタンバイするスフィロ】

 スフィロは、手のひらサイズのボールに加速度計やジャイロセンサーを搭載した球体ロボットだ。Bluetoothを介してiOS/Android端末から操作が可能で、秒速2メートルで転がり、傾斜のある道もぐいぐいと上る力がある。2011年に米国で発売され、日本では新製品「sphero 2.0」の登場に合わせて昨年9月から一部店頭やネット通販で手に入るようになった。

●きっかけはiPhone

 スフィロを開発・販売しているのは米国コロラド州に本拠を置くOrbotix。Ian Bernstein(イアン・バースティン)とAdam Wilson(アダム・ウィルソン)という2人のエンジニアが立ち上げたゲームロボットのベンチャーだ。

 田舎町に育ち、映画「ターミネーター」やSNES(スーパーファミコン)に多大な影響を受けたという同氏。ロボット開発でもとくにソフトウェアに興味を持ち、バースティン氏が「TechStar」(テクノロジー関連の投資プログラム)出場を持ちかけたときは、NASAのインターネット制御ロボット開発プロジェクトに携わっていたという。「宇宙で活動するロボットには上も下もない。スフィロに似ているでしょう?」。

 ウィルソン氏によると、スフィロ開発のきっかけは2009年に登場した「iPhone」だったという。「誰でも使えるユニバーサルなロボットが作りたいと考えていたときにiPhoneが出た。プロセッシングが可能で通信もできる。この小さなコンピュータデバイスで僕らが作ったロボットを操作できると思った」(同氏)。

 2人は、TechStarで調達した資金を元手に初の製品となるスフィロを送り出し、数年後には奇しくも宇宙をテーマにしたミュージアムで活躍することになった。実は、スフィロの姿勢制御は加速度計とジャイロによるもので、ロケットの慣性センサーと基本的な仕組みは同じ。東京ドームシティでは、「スフィロに宇宙開発とのつながりを感じた」としているが、おそらく偶然ではない。

 もっとも、スフィロが地球の外で活躍する予定は今のところなさそうだ。「NASAには、スフィロにソーラーパネルを取り付け、“一人旅”をさせるアイデアを持ち込んだことがある。今のところ、話が分かる担当者とは出会えていないんだけどね」(ウィルソン氏)。

●スフィロを操ってロケットを打ち上げろ!

 「アストロボール」は、5人(2面で計10人)が同時にスフィロを操り、障害の設けられたコースを時間内に突破するというアトラクションだ。参加者は宇宙飛行士の訓練生という設定で、スフィロはそのアバター。プレーヤーとコースは5色に色分けされ、スフィロも同じテーマカラーに光るよう設定されている。

 コースは1本橋で、途中が曲がっていたり、クランクになっていたりとかなり意地悪だ。コースによって難易度が異なるため、スキルに合ったコース選びも重要な要素になる。

 ゲームが始めると、まずスフィロの操作に慣れるための時間が与えられるのだが、初めての人にはなかなか難しい。また本番では決められた時間内にクリアしなければならないため、スフィロを一気に進めるか、慎重に動かしていくか悩みそう。ただし、橋から落ちてしまったときも横の斜面を登ってスタート地点に戻れるため、時間内なら何度でも挑戦できる。

 時間内に訓練コースをクリアし、ゴールのロケット発射場に辿り着くと、中央のディスプレイにロケットが発射する様子が映し出される。クリアした人数によってロケットのサイズが変わる仕組みで、例えば全員がクリアすると補助ロケットを2つ装備した豪華3段ロケットになるが、1人しかクリアできないと1段だけの寂しい映像になってしまう。もちろん誰もクリアできないとロケットは飛ばない。ちなみに報道関係者5人で参加したときは、2人しかクリアできなかった。

 ゲームの結果はともかく、スフィロはエンターテイメントジャンルのみならず、B to B市場を含めて着々と活躍の場を広げているようだ。ウィルソン氏によると、スフィロにカメラを付けて危険な場所の調査に使うといったプロジェクトも実際に動いており、既にある企業に納品したという。

 またスフィロにはプログラミング用のアプリケーションが提供されており、ゲームなどのエンターテイメント用途はもちろん、教育分野でも活用が進んでいる。Orbotixでは1年前に「SPRK」(スパーク)という科学技術分野の教育プログラムを立ち上げ、それまでプログラミングなどの教育機会がなかった学校を対象にスフィロや開発キットを寄付して“楽しみながら学べる”環境を作った。

 「私が子どもの頃、周りには何もなかった。お金やリソースに恵まれていたわけではないが、誰でも根気よく続ければ目標を達成できると思う」(ウィルソン氏)。

 大勢の人が集まる「TeNQ」で、スフィロは子ども達にインスピレーションを与えることができるのか。「TeNQ」は7月8日にオープンする予定だ。


[芹澤隆徳,ITmedia]

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2014.07.05|コメント(-)トラックバック(-)
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