
7、8年くらい前からでしょうか。恩田陸さんの小説「夜のピクニック」で描かれる「夜行祭」に感銘を受け、「SMA歩行祭」を主催しています。SMAとは所属事務所の頭文字、深い意味はありません。10人くらいの仲間で、多い時には20人で列をなし夜に出発してただひたすら歩くだけ。
これまで5回ほど実施し、50キロを16時間30分かけて歩いたこともありました。そこで繰り広げられる会話だとか、苦しい経験を通して芽生える友情や絆みたいなものを小説のように感じたかったんです。
でも、そりゃもうシンドイ。そのひと言です。足なんてバッキバキ。東京タワーが終着地点の回は、緩やかな勾配の上にあるトイレにたどり着けなくて、「もうええわ……」と諦めたぐらい。実はいまだに本来の目的は達成できずにいるんですが、何でしょうね、とことん疲労感を味わうのも悪いもんではない。トライする方は、ぜひ小説をご一読ください。
ゆるく歩くのも好きですよ。よく晴れた日は350ミリリットルの缶ビール片手にぶら散歩。これ、たまりません。お天道サマが出ているうちから酒を飲むっていう、どことな~くダメダメな感じ。お店に入ってグラスを傾けるのより、どことな~く健康的でもある。
ありがたいことですが、最近はだいぶ顔を知ってもらえるようになりまして。おかげで缶ビールの飲み歩きをしにくい。つまらんです。「あの芸人、大丈夫か?」なんて面と向かって囁かれるだけならまだしも、尾びれ背びれでよからぬ噂が立つとアレですし、自粛してます。少し前、中目黒から池尻の先の方まで、お花見がてら歩いたんですが、そのときも我慢しました。
歩きの途中でオモシロ看板を見つけるのも楽しみですね。先日、地方で見つけたのは「ネコ飛び出す !! 」って書いてあるやつ。普通書くなら「ネコ飛び出し注意」じゃないの? でも、書いた人の気持ちは分からんでもない。そんな“あるある看板”との出合いも醍醐味です。看板は見つけると写真で撮りたくなるんで、ケータイは持ち歩く。あとは特にありません。思い立った時に歩くので革のブーツの時もあるぐらい。決まりをつくらず、自由気ままにできるのも歩きの良さってことで。
▽ことうげ・えいじ 1976年、福岡県出身。相方の西村瑞樹とお笑いコンビ「バイきんぐ」結成から18年。「キングオブコント2012」王者。