
J:COMは6月3日、東京スカイツリー(東京ソラマチ)にある同社ショールーム「J:COM Wonder Studio」で4K試験放送に関する記者会見を行い、同社が実施するRF/IP両方式の4K放送について説明した。その席上、ジュピターテレコム上席執行役員の田口和博氏は、早ければ夏にも4K VODの試験サービスを開始することを明らかにした。
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J:COMは、次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)の設立当初から参画し、MSO/CATV事業者の立場から規格策定や運営に携わってきた。また2013年2月にはKDDIと共同で2K/4K/8Kの同時伝送実験を行うなど、4K/8Kの実用化に向けてかなり積極的だ。今回の4K試験放送でも、自社の商用インフラを利用する4K伝送実験に名乗りを上げた。
試験サービスでは、NexTV-Fが東経124/128度CSで送信する電波を東京・練馬にあるJ:COMのマスターヘッドエンドで受信し、そこからRF(同軸ケーブル=ケーブルテレビ)とIP(IPネットワーク)に分けて再送信を行う。またJDSを通じて全国35のCATV事業者にも4K試験放送を届ける仕組みも構築している。「昨日から4K試験放送を始めた事業者もあれば、これから始めるところもある。CATV業界が一丸となっても北海道から九州まで津々浦々で視聴できる体制を整えた」(田口氏)。
今のところ一般家庭で4K試験放送を楽しむことはできないが、国内20カ所のショールームなどでデモンストレーションを行う。視聴できるコンテンツは、「富士山ふしぎ水紀行」(NHK)や「フィギュアスケート/GPファイナル2013」)テレビ朝日)、「THE 世界遺産」などCSの試験放送と共通だ。「フルHDの4倍という精細な画面に広い色域。画面には奥行き感があり、加えて音響もいい。4K放送をぜひ見てほしい」(田口氏)。
なお、4K放送の商用化(本サービス)時期については、「総務省のスケジュールに則って進めており、現状では2016年を目指している。それまでには一般のお客が楽しめる環境を整える」と話していた。
●DLNAで4K映像を出力するSTBが登場
同社によると、受信した映像と音声には一切手を加えず、H265/HEVCでエンコードされた4K/60p(YCbCr 4:2:0)をそのまま伝送するという。データ量は約35Mbpsのため、RFは256QAM(変調方式)を使えば従来のHD放送1チャンネル分の帯域幅(6MHz)で伝送できるが、一方でIP方式はエラー訂正などのオーバーヘッドを含めると45Mbps前後となり、現在のDOCSIS 3.0(ケーブルモデム方式)では容量が不足する。このため複数の回線を束ねて容量を増やすチャンネルボンディングで対応した。
発表会場では実際にRF経由で受信した4K試験放送をHDMI経由で4Kテレビに表示して見せた。受信用のSTBは、パナソニック製とヒューマックス製の2種類。パナソニックはRF方式専用だが、ヒューマックスはRF/IPの両方に対応したモデルだという。またパナソニック製STBにはDLNA(ネットワーク)を拡張して4K出力する機能を搭載しており、この場合はテレビ内蔵のHEVCデコーダーを使用することでトータルのシステムコストを抑えられる可能性もある。
「将来的にSTBでデコードするか、既存のもの(テレビ内蔵デコーダー)を活用するか決めたい。トライアルの中では両方を検証していく」(同社技術企画本部端末技術部の上園一知マネージャー)。なお、どちらのSTBも開発中のもので、一般ユーザーが入手する方法はない。
●VoDトライアルも実施
説明会の席上、同社はVODでも4K配信トライアルを実施する計画を明らかにした。こちらもRF方式の「J:COMオンデマンド」とIP方式の「milplus」の2本立て。milplusはJ:COM系列局以外をメインにプラットフォームを提供するビジネスモデルのため、4K放送と同様に全国のCATV局へ広がる可能性が高い。
トライアルの開始時期については「早ければ今年の夏くらいには始めたい」という同社。しかし、商用化の時期については慎重だ。「環境が整えばできるが、技術開発が必要だ。そのためのあってトライアルを早めに行うことを決めた。もう1つ、商用サービスを行うにはコンテンツが10本や20本ではいけない。コンテンツと技術開発の両面を見ながら、なるべく早期に実現させるつもりだ」(田口氏)。
[芹澤隆徳,ITmedia]