
台湾新北市内の淡水区で9日、台湾滞在中の日本人留学生らが2011年3月11日に発生した東日本大震災に対しての台湾の支援を感謝するイベントを開催した。被災者からのメッセージも紹介し、多くの日本人の感謝を伝えるとともに、大震災のもたらした傷に対する記憶を薄れさせないよう訴えた。自由時報など台湾メディアが報じた。
留学生など台湾在住の日本人が結成した「謝謝台湾活動実行委員会」がイベントを主催。被災地の女性による、「台湾の皆さんが私たちを励まし、力づけてくれたことを本当に感謝しています。私たちは皆さんの気持ちに応えるよう頑張ります」(記事原文は中国語)などのメッセージも伝えた。
実行委員長の台湾師範大学1年の小坂賢吾さんによると、昨年(2013年)にインターネットで呼びかけ、台湾在住の留学生12人で委員会を立ち上げた。感謝の活動そのものは第3回で、第1回のイベント開催地の淡水を再び選んだのは、「初志」に戻るためと言う。
活動中、台湾の人々に激励のことばをボードに書いてもらい、折鶴も折ってもらった。同実行委員会が被災地に届けるという。
小坂さんは昨年11月に仲間4人と被災地を訪れた。被災者の多くがいまだに苦しんでおり、多くの場所が復興していないことを知った。しかし、「いずれにせよ、被災者は震災当時に台湾人が差し伸べてくれた暖かい手を、永遠に忘れることはない」という。
台湾大学4年生の竜川琳さんは、東日本大震災発生後にキャンパス内で仲間とともに募金活動を行った。2つの募金箱それぞれに、1万台湾ドル(約3万4000円)を入れてくれた人もいて「本当に感動しました」という。
同日、台湾南部の高雄市で同市剣道文化促進協会が主催した「国際都市剣道文化交流大会」の開幕式では、参加した台湾、日本、米国、香港の「剣士」約400人らが、東日本大震災の犠牲者のために30秒の黙祷をささげた。
出席した陳菊市長は「高雄は八八水害を経験しているだけに、日本の被災者の苦しみはなおさら分かります」と述べた上で、「台湾と日本の国運の隆盛を祈ります。平穏無事で、災いが起こりませんように」と述べた。
台湾メディアは淡水と高雄の活動を合わせて「(台湾の)北でも南でも、日本の幸せを祈り、台湾に感謝」と報じた。
経済産業省認可の公益財団法人で対台湾窓口機関の「交流協会」も11日に東日本大震災の追悼式を行い、同時に台湾から寄せられた支援に対する感謝を表明する。
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◆解説◆
八八水害は2009年8月に発生した台風の豪雨に伴う水害。死者681人、行方不明18人を出した。被害が特にひどかったのが高雄県小林村(当時)で、土石流で集落の大部分が流された後、土石流によって形成された天然ダムが決壊し、集落全体を壊滅させた。同地区だけで500人が死亡、逃げ延びた住民は数十人だけだった。
交流協会とは、台湾との窓口として機能している公益財団法人。台湾側のカウンターパートナーは亜東関係協会。双方は貿易経済会議を開催。さらに日台漁業交渉や日台航空交渉などを行っている。双方とも民間代表機関という形式だが、さまざまな協議などは官僚が行っており、事実上の政府間の実務者協議として機能している。
なお最近では中国語学習などを目的とする留学先として台湾が見直されている。台湾では大陸とは異なり伝統的な旧字体(台湾では正字、大陸では繁体字との名称)が用いられており、中国語(標準語)の発音や語彙(ごい)が若干異なることから、台湾を留学先に選ぶことは少なかった。
しかし、旧字体を学んだ後でもその気になれば大陸の略字(簡体字)を学ぶことはさほど困難ではなく、また台湾では主に外国人向けに簡体字により中国語を教える「塾」も出現。教材も発行されている。発音や語彙の違いも、大陸出身者との意思疎通に大きな問題はない。
台湾が留学先として見直されているのは、大陸との対日感情、汚染問題を含めた生活環境の違いなどが影響していると考えられる。(編集担当:如月隼人)